題詠100首

082:整 整えてしまうときみじゃないみたいくしゃくしゃな日々撫でて暮らした 083:拝 もう遠く逝ってしまった報せに拝む無力で非力な窓をふるわせ 084:世紀 まだ鍵をさがしているよ世紀末最後の扉がひらかれるまで 085:富 警笛をならしつづけたこの船に豊富な…

本日の投稿分

076:あくび まひるまの月のあくびが憎しみが真冬に蔓延しない間(ま)に逃げよう 077:針 干からびた砂地にかつてなくしたままの羅針盤を見つけた9月 078:予想 予想したようには生きてゆけない夜の底 そこで信じたきみだけが咲く 079:芽 逃げないでいたそのなみ…

本日の投稿分

069:カフェ もう一度もどらない秋飲みほせばまばらなカフェにとける空席 070:章 序章からはぐらかされた終章をリフレインしずぎてすでに耳をふさいだ 071:老人 さぁ老人のようにか細い指であなたにほのかな虹をささげつ 072:箱 箱詰めにされてしまったあの頃…

本日の投稿分

067:事務 事務室の隅にかつて飼われた鳥がいたぼくらはうかつに卒業できない 068:報 まよなかの訃報電報読みあげる耳に沁みこむみしらぬ声だ 小軌みつき

本日の投稿分

058:抵抗 砂時計なんどもひっくりかえすだけせめて抵抗させて宙船(そらふね) 059:くちびる 朽ちるままほろびるくちびる口火をきって忘れられない偽善があった 060:韓 もう少しそばにいようよベランダの韓国レタスに聞かす鼻歌 061:注射 注射する順番待ちの小…

   本日の投稿分

055:とおせんぼ きみ棲んでいるあまぐもよ とおせんぼしていてどうかあふれだすから 056:鏡 ただひとつ紙の風船とどくころひそかに水鏡はゆらいだ 小軌みつき

(052:舞) ほのか残像もう散り終えた夾竹桃(きょうちくとう)の 残暑見舞いあなたに 小軌みつき -

(051:しずく ) あの頃のふたりのしずく夜空から こぼれてほしい雨の金曜 小軌みつき -

(050:萌) 閉館のライムライトにめをとじて 鷺沢萌に遭って来ました 小軌みつき - それまで小説なんて読まなかったし、もともと長文は読めなかった。ひとつ年下でありながら、高校生デビューで新鋭作家だった鷺沢萌。 2年前に逝ったとラジオで一報を知った時…

(048:アイドル) 水槽のアイドルひたすら睡(ねむ)りこむ あぶくみたいな寝息洩らして (049:戦争) 床下にきょうは乳歯を投げこんで朝な夕なのカナリア戦争 小軌みつき ----------------------------------------------------------

(047:辞書) いつからか夜ごと新芽が生えてきて 辞書に根ざしてゆくゆびのさき 小軌みつき

(044:飛) 汗よりも飛び散りたかった強すぎる 西陽の窓にかまわずずっと 小軌みつき -

(043:曲線) ゆうるりとうつむくシャツに 麦わらの影はよりそう曲線だった 小軌みつき -

(042:豆) ぬかるみの靴跡たどってずぶぬれなクローバーたちの黒豆ココア 小軌みつき

(041:こだま) めくらましそれからちょこっとねこだまし めくらめっぽうあなたが好きだ 小軌みつき -

(040:道) あの道やこの道きっとつながって わたしのひとつの道となるから 小軌みつき -

(039:乙女) 兄さんは乙女の森へゆきました そっと待ちましょ還りつくまで 小軌みつき

(038:灯) ひとりまたひとりと灯れトンネルに だいだいいろの閃光(ひかり)放って 小軌みつき

(037:花びら) まじりゆくスノードームの花びらまだら 聞こえぬはずの声らはおぼろ 小軌みつき

(036:組) かたくなに拒めばこばむほど枠組みをはみでるわたしの向日葵のこと 小軌みつき

ほの寂し春のブランケットにあらゆるもっていないすべて数えて (031:寂) 上海雑技団の空中回転おちてくるからきみと手をぎゅっとつないで (032:上海) まよいこむとかげのかげの鍵穴にあわない鍵を持ったまま、春 (033:鍵) 好きだった嘘じゃなかった事実「薔…

オヴラート光よろめく痛がりの ダメージをこそ美徳とおもえ (021:美) こわれたいもとのかたちにもどれるならば レントゲン室の瞬間放射 (022:レントゲン) 結ぶのよことり永遠と一瞬のさざめき それだけをそれだけを (023:結) テーブルに牛乳の輪っか消せなく…

約束はからっぽだった毎日に 小さなマルをつけさせたりする(011:からっぽ ) いつまでもバニラプレッツェル噛みあって 笑っていたいだけだよ、きみと(012:噛) 天国ではしゃいでいるかなクリームは秘密の丘で2歳のまんま (013:クリーム) いちまいのコー…

あの星への階段はあるそのうえをあまやかな風ゆっくりすべる (001:風) 朝顔のつるくさ指に巻きつけて苦手だったなラヂオ体操 (002:指) 雑草の名前おぼえてみたくなる絵手紙に咲くセイヨウカラシナ (003:手紙) ふりだしにもどってしまうぼくたちの最後もファ…