069:カフェ
もう一度もどらない秋飲みほせばまばらなカフェにとける空席
070:章
序章からはぐらかされた終章をリフレインしずぎてすでに耳をふさいだ
071:老人
さぁ老人のようにか細い指であなたにほのかな虹をささげつ
072:箱
箱詰めにされてしまったあの頃もいまなら齧じってしまえそうだと
073:トランプ
正直になればよかった。トランプタワーももう過去形にちらばったあと
074:水晶
たどりつくならば来世あなたの水晶宮までそっと小声で呼びにいくのに
075:打
忘れない打ち寄せる波のかたちが私のシャドウになった陽の暮れのこと
小軌みつき