短歌

〜手を重ねあうだけで〜泣きながらあなたを洗うゆめをみた触角のない蝶に追われて わたしたちがはじめてふれた高さからそうだね屋根がぜんぶみえたね だまってるばかりでもいい春先の猛禽類(もうきんるい)の檻の前では かわくとき少し反るのがいとおしくサン…

「世界や理想という雑誌があった/遠いわねえ/遠いだろうか」という詩のきれっぱし。遠いわねえ。遠いだろうか。 みずいろのつばさのうらをみせていたむしりとられるとはおもわずに もうじっとしていられないミミズクはあれはさよならを言いにゆくのよ かがや…

とある春の終わりもしくは初夏の始め、わたしは短歌と出会い あの時、あの歌と出会ったことが今を思えばはじまりだった こんなにも風があかるくあるために調子つぱづれのぼくのくちぶえ カナリアの血はあたたかいそれゆゑに細き啼きごゑつきまでとどく きの…