春の想像散歩

okimituki2006-03-08

 昨日せっかく隣町のいつものリーズナブルスーパーまで買い物に行ったのに、肝心な朝のパンを買い損ねていたことに帰ってきてから気がついた。だけど、今日は先ごろからのセキから熱っぽさもともなってきてしまって、とてもでかける気にならなかったので、近くのヤマザキショップへ夕方もう薄暗くなってから部屋着のまま上着だけはおってすっぴんで行ってきた
 近くの駐車場を抜けていくと、少し木が茂っている舗装されていない小径(こみち)がある。そこを少し遠くから帰りに見るといいように言えば「小さな恋のメロディ」(だったかなぁ・・)の小さい男の子と女の子が森の中に消えようとしている後姿のモノクロの映画みたいなイメージが湧きあがって、ちょっといい
 今日はとてもあたたかい一日だったので、夕暮れの風にただようにおいも少し蒼いような、芽吹く緑っぽい香もまじっていたように思う。冬の凛とした冷気はもうそこにはなかった。
 だいたい私が住んだところには、近くに駄菓子屋さんか小さい調理パン屋さんなんかがあった。ちっとも儲からないだろうけど、さびれた住宅街にぽつんとあるこじんまりしたそういう店へふらふらっと行くのは、スーパーとかに行くのとはまったく違う愉しさがある。もちろん今日についてはパンを買うことが目的ではあったのだけど、本来こういう店はそうじゃなくてもっと無目的にふらりとするのが似合うのだ
 放課後なら小学生や中学生とかが時に集う場でもあったりして、時間帯によって店の表情もがらりと変わるのだろう
 朝ならここでパンとコーヒー牛乳を買って、近くの公園のベンチで小鳥のさえずりを聞くなんていいかも。楕円のクリームパンを食みながら、テトラパックの三角のコーヒー牛乳にストローをさす。てのひらにうまくそのテトラパックをおさめて、できるだけカドを持ち面の部分を圧さないように気をつけながら、クリームパン一口ぱくりコーヒー牛乳をちゅぅっと吸うのを交互にくりかえして、淡々と胃におさめていくというような何気ないことがなんだか格段に魅力的な光景に思えてきたりする
 そんなことを想像しながらてらてら蛍光灯の光を放つヤマザキショップに入り、4個入りクリームパンとおやつをひとつ買う
 ただそれだけなのに、いつもしないことだとほんのり新鮮だった
家に辿り着くといつもの日常と日常に挟まれた所要時間およそ10分の、炭酸せんべいみたいな想像散歩

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題詠100首blog 本日の投稿分

014:刻  いちまいのコートにふたりくるまればなれた「恋人たちの時刻」に
                               小軌みつき
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015:秘密     柔軟な秘密はずっとあとをひくとぼけた金魚にうちあけようか
                           小軌みつき
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