未来の誤算

okimituki2006-02-16

  時々あれ、と思うことが起こる
そこですごく個人的に時間の他者との対比スピードとかを感じる
本当はそこで とても自分が停滞しているように
思えて仕方がないというのが本音かもしれないけど

     
           *


 20代のはじめの頃、イラストを描いていた
それで月に一回イラストコンテスト通称イラコン
と呼ばれるものに毎月毎月投稿していた


 その頃の働き先に
宝塚歌劇団のあるスターの後援会幹部(クラス)の人がいた


 私は宝塚歌劇のことは
〜スミレの花咲く頃♪という歌くらいしか知らないのだが


 その人はもう私生活はどっぷり宝塚歌劇にはまっていたようで
そのスターの通常公演をできるだけ観劇するのは当たり前で
その公演後の外での出待ちとか
ある時は東京公演など遠征にも出かけている様子で
(いわゆる、おっかけみたいなことなのかなと想像してみたんですけど)


 そこで知ったところによると どうやら
宝塚歌劇はひとりひとりのスターにつきファンの人たちが
自ら後援組織を形づくるというような独特のシステムがあるようで
 運営もその幹部クラスの人々が会報のようなものをつくって配布したり
ファンの集い(どういう呼び名かはわからないけど)とかも
そのスターを囲んで定例的にやっているというようなハナシでした


 その人いわく
その時の勤め先のコピー機をじつはその会報コピーにあてるため
朝早めに出勤して稼動させ、数百枚という会報を刷り上げている
という極秘ヒミツも教えていただいた(でも、もう時効よね)
 

 それでふとしたことで私がイラコンに出していたイラストが返却されて来てたか
これから発送だったかのタイミングで、その人にちらと作品を見せたのかもしれない
 私はデッサンを得意としてたので、それを見てその人がひらめいたらしく


 そのスターの似顔絵を描いてくれないかと頼まれた
私はそんなことで絵が描けるなんてめったにあることではないと思い
ふたつ返事の軽い気持ちでひきうけた
 フェイスアップにピンクのコスモスをあしらった
じつに私にしては(?)さわやかな構成だった


 借りたそのスターの写真をもとに作製したイラスト原画を
その後、後援会のファンの集いのプレゼントとして出すとかいうことだったんだけど
思いもよらず人気を呼んだというので
しばらくすると私のイラストは、知らぬ間にポストカードに商品化されたりしていた
(その件に関しては私はまったくの無償奉仕のノータッチでした・・)


 その後、そのイラストを見たという
別の宝塚のスターの写真をまた預かって
その時は些少のイラスト料をいただき描かせていただいた


 それから数ヶ月してそのバイト先はやめてしまったので
結局そこまででその最初に描いたイラストが
その後どうなったかはわからないんですね


 それでかれこれ それが15.6年くらい前にたぶんなるのですけど
 つい数年前に阪急電車を降りるとその時描いた方が
巨大なペルソナカードの看板女優になっていらして、驚いた
 そうこうするうちに、テレビCMで見かけるようになってまたびっくり
 そしてこの間、深夜のバラエティ番組のゲストに出ていて
はじめて、動いてしゃべる表情のある姿を拝見した
 その時にあの時描いたおもかげのようなものをすごく感じて
なんだかとても懐かしいような、少しはにかんだような気持ちになった


 描いた当初はデビューまもない頃だったと思うので
その時点でトップスターになるとはゆめゆめ思っていなかったし
ここまでのぼりつめるタイプにはあの時
写真を見ただけではわからなかったというのが
正直なところだったのですけど(失礼)
 見るたびに顔のイメージが変わるというのは本当みたいで
あの頃聞いた話を重ねて想起してました


その時描いたのが
CASIO EXILIMエクシリム) カードでムービ〜の

 
「彩輝 直」さんでした


 宝塚音楽学校に入るだけでも ものすごい倍率といわれて
その男子禁制の女の園の世界で着実に歌劇団で実力を発揮し
さらにはトップになって、その後女優になるなんて
ほんのほんの一握りであることはよくわかります・・・・ので、
ちょっとため息が出ます


 私はファンでも何でもなかったのですけど
だからあの時幹部だったあの人は
 若いのに介護を経験していて
宝塚だけが心のよりどころで、解放区だったような
そんなエピソードも聞いていたし
 ファンとして、あくまで真摯に育てる熱意を持って活動していらしたから
さぞかし いまでは誇らしいだろうなと
もうほとんど記憶の隅っこのあの人の顔思い出しました


 バイトやめる時 ひとり送別会してくれて
いきつけのすし屋だといって(20代そこそこなのに)
ごちそうしてくれたこと忘れていません


 そして私もつい最近この事実を知り
誇らしさついでににまぜてもらっちゃったわけです


 やっぱり報われるってのはいいもんですね
今ごろどうしているんでしょ 元気だといいな・・