ハネものさくらんぼ

okimituki2006-02-05

 今朝友人からメールがきていた
近くに住んでいて、いまでも月一回の寄り合い
(勝手にそう呼んでいる集まり)
のメンバーのひとりなのだが
 特にそれほど仲がいいというような
馴れ合いなつきあいはしていない関係の
 

 ただ たまたま幼稚園の登下園の集合場所に
一時期 毎日通い合った同じ班の人たちで
なぜだかいまでも交流が続いている人が何人かいる
そのうちのひとりである


 ここのところ私はシゴトがあって、寄り合いには出ていないのだけど
ふだん道を歩いているだけでも、見かけることは多い
 けれどお互いそういうときは、用事で動いているし
別だん話すこともないから
短いあいさつ程度の会話をかわす程度で通り過ぎる


 それに彼女はいつも元気で陽気で
そこらじゅうに相当数の知り合いがいるような
私とは全く違うタイプ


 年末に「おせちをおすそわけしようか」とメールしたら
欲しいというので、わざわざ前倒しで作って持って行ったのに
しっかり出かけていた・・・ぅう あんまりに侘しいので 
もうひとりのメンバー宅へその足で即効行って、それはいただいてもらった
 それで二日後までは田舎に帰らないというから
今度はその日にメールであらかじめ確認のため打診したら
 「もういま、梅田 また来年ね」 みたいな感じで
 やっぱりそう来たか〜という べつだん珍しいことでもない
彼女はそういう人なのだ
 だから私は彼女との関係では気をつけて動かなくてはならない
と、つねづね心に言い聞かせている


 だけど、そんな風に毎日をせわしなく 無数の人々と会ってしゃべって
いつも習い事とか歯科助手の仕事とかしてて
娘や息子のお稽古ごとの送迎やら 買い物やら おまけにPTA活動やらして
超多忙そうで、私などおよびもつかないアクティブさ
そういう生活をまのあたりにするたびに 近づきがたさすら感じるのだが


 なんで私なんかのもとへメールを打ってくるんだろうと不思議に思う
(それもあまりメール魔ではないほうらしく、一回のメールでもやりとりはきわめて簡潔だ)


 去年誰にも言っていなかった時にタイミングよく
インフルエンザにかかっているとも知らずに
(誰かから伝わったのかもしれないが)
突然、彼女から 何かできることがないか とメールがきたこともあったし
 可愛がっていたネコが亡くなった話を違う友人に話してから しばらく経って
ある日の夕方電話がかかってきて
それは、それは きっと、めちゃくちゃへこんでいるに違いないだろう
とキッパリ断定されてしまったわけで
 つい最近もある大きなデキゴトがあり、それはみなが周知の事実で
そのことが少なからず私にも影響があると彼女も知っていたので
その時はダメージをはかりかね とても遠まわしなメールが来た


 結局そのどれもが当たっていたので
あっさりお縄になったような口惜しさも感じたけど
いままでそういうことってあまりなかったから
素直に受け入れてありがたいと思ったんだけどね


 その彼女に年末からずっと小軌(実際は戸籍上の苗字が名前のところに入るのだけど)節が
聞きたいと要請をくりかえされている
ほんとうは私のしゃべりが聞きたいのではなく
何かあるのかもしれない 私でしか話せないような
たとえばそうでなくても私と話すことで癒されるような・・
 そんな、とても個人的なことが、彼女の心の奥底で膨れているのかもしれない
(彼女はあまり自分のことはしゃべらないのに
私からは赤裸々なことを聞き出すのが好きみたいで
なんかちょっとズルいなぁと思えたりもする)


 彼女の家で、実家の山梨から送られてくるというハネ(売り物にならないという意)もの
さくらんぼを食べながら話したのは、もうずいぶん前のことだ
 
 そのハネもののさくらんぼを初めておすそわけでいただいたのは
息子が幼稚園の時で、そんなにたくさんではなかったけれど
そのとき私は毎日だった通園のお弁当に入れ
 ある日はおやつのサイダーに一粒沈めてみたり、
ケーキのてっぺんにホイップクリームを絞ってのせてみたりなんぞして
それを楽しませていただいた
 そしてそのことをたぶん私が何気なくしゃべったんだと思う


 もうそろそろ幼稚園も終わりかけたある参観の日
冬空の下で、いましがたまでほぼ周りじゅうのお母さんたちと
しゃべりわたっていた彼女が私のそばにきて
 あのさくらんぼをあんな風に食べてくれたのは、私だけだった
だからまた話しましょうというようなことを
 彼女は首に巻かれたシフォンのスカーフを風になびかせながら、そっと告げてくれた


 多くの人々といつもにぎやかに接してきた彼女にとって、
私とは私から見た彼女の印象に反して
もしかしたら言葉にする以上にそういう存在だったのだろうか と 今日 ふと思った