春の報らせ

okimituki2006-02-01

 ひところガーデニングブームというのがあった
それから多少ズレて遅ればせながら、土いじりをやっていたら
また元来ののめりこみやすさで、どんどんはまった


 家には庭なんかないのだが、花壇はとりあえずあって
そこにはスギの木が3本植わっている
もうかなり大きくなってしまって、自分の身長をゆうに越えた
ときどき引っ越す時どうするんだとか
台風のときなどは倒れそうに揺れるので、ひじょうに怯えてしまうことも多々ある


 昨年から片目だけかゆくて、ややただれたのでおかしいなと思っていたら
これまでかかったことがなかった春の悩みゴトとして他人事のように聞いていた
脅威の花粉症に ついに!私もかかってしまった・・・
 だからそのスギの近くに行くのは、もう極力避けたいと思っていて
 だけどなすすべもないので、これからもすくすくと立派に育っていくさまを
内心びくびくしながら見守っていくほかないw


 そんな風にえんえん買ったあと思いもよらず、長いつきあいになることになったり
そうかと思えば置き場所が悪かったのか、はたまた水のやり方が合わなかったのか
とにかく買ってきて一週間で ハイ サヨウナラ ということもあった
 その大半はきれいでかわいらしい花たちだったので、
いまではほとんど葉だらけのガーデニングになってしまった


 はじめは東急ハンズで買った一鉢のオリズルランも、もう10年以上経つが絶えない
むしろやたらと増えて、真冬にも外に平気で放置しているから
茶色に変色して葉がグラシン紙のように透けて ヘナヘナになってしまうことも毎年だ


 しかしオリズルランのすごさは根っこのすばらしさにある
まるでまっしろな なめくじみたいに太いみごととしかいえないあっぱれな根っこ
土に埋めておくだけで、春になったらまたそこからどんどん葉を伸ばしてくる
 だから真冬に枯れたのをカットしたり取り除いているだけで
また春には青々としたキレイな観葉植物に変身し
冬のみすぼらしい姿はどこへやらなのだ


 それにしばらくしてランナーという茎の細いのがすぅっと伸びて
その先にいくつか子ヅルがついてくる季節になると
もうたまらなく自分が子だくさん気分になり
またそこらへんに空いたプランターに切り取った子ヅルをせっせ せっせ
これでもか これでもか と植えまくり
 そうこうして あまり気にかけないでテキトウに水をまいていると
種が絶える事はないくらいにはまた驚異的に増殖している
(ようは乾燥に強く、とても育てやすい植物なのだ)


 それでアイビー・グレイシャーという蔓植物も同様にどんどん辺りに巻きつき
トレリスに絡み、壁を這いしている間に手におえなくなった
もうなんでこんなに生えているの というくらいに今では雑草化してしまったので
 ときどき切って処分したり、家じゅうに気まぐれに飾るが
そんなことしても、全く焼け石に水だということはわかりきっている
 しかし斑入りといわれる白っぽい筋がふちに入っているのが特徴のグレイシャーの
葉の形と色はうっそうとしていても、
静かな美しさをたたえ凛として涼やかだと信じてやまない


 ただ素直であからさまな子どもたちや友人にしてみれば
見まいとしてもわかりきっているこの草ぼーぼーな事態を見て
思わず嘲笑を交えた指摘をされることもしばしばであり、
やはり・・・そうよねぇ と思わす絶句し苦笑いを返すほかない


 しかしそよそよと風に揺れ、
それはそれはみずみずしい葉を鮮やかな緑のにじんだ窓越しに見ていると
なんだか心和んじゃって なかなかどうして それはやはりウレシイのだ
 今日も一緒に 息してるね〜って思えちゃうのだ


 これからの残冬の2月の季節を越えていき
これまで枯れ枝にしか見えなかった植木もその共演に加わってくる 
もう死んだんじゃないのと疑っていたような枝から
たとえばレンズで拡大してみたら芽キャベツ状の
じつは3ミリ程度のちぃちゃい芽の黄緑が顔を出すと
そっとその芽吹きをつついて、指の腹で確認してみたくなるほどチャーミングだ
 やがてそこからほころびでる葉の赤ちゃんは
そんなわが家の春を、いち早く運ぶ報らせになることだろう